西日本で生まれ育った私にとって、東京は特に思い入れのない地であり、わざわざ足を運びたい場所ではありませんでした。
しかし仕事で訪れる機会が増えて、ちょくちょくと気になるスポットを巡っているうちに、東京の面白さが分かってきたのです。
今では折に触れて、観光に出かけるほど。
今回の記事では、そんな私が惹き付けられた東京の見どころを、幾つか紹介したいと思います。
個人的な趣味嗜好が如実に表れた内容ですが、その点はご容赦を^^;
ロボットレストラン
まずは、新宿の歌舞伎町近くにあるレストラン「ロボットレストラン」についてです。
こちらはロボットやダンサーたちが披露する迫力満点のパフォーマンスを、心ゆくまで堪能できるお店。
私は各種雑誌や、かのMUSEが初めてセルフ・プロデュースしたュージック・ビデオ「Panic Station」にて存在を知り、ずっと行ってみたかったのです。
さてにぎにぎしい新宿の町を歩いて店の前まで行くと、外観が既にド派手で、いやがうえにも期待が高まります。
エンドレスで流れている「ロボット!ロボット!レ~ス~ト~ラン♪」というオリジナル・ソング(?)も、妙な中毒性あり。
一度耳にしたら、頭から離れません。
いよいよ店内に入り、まずは待合室のような場所へ通されました。
ただ待合室と言えど、その造りはあくまでもド派手!
真赤な床に、目に痛いほどきらめく照明のコントラストが、何とも景気が良くって素敵です。
狙った悪趣味さとでも言うのでしょうか(笑)
こちらの部屋では余興とばかりに、シルバーのコスチュームで着飾った楽器隊が登場し、数曲披露してくれます。
正直この部屋の様子とパフォーマンスだけでも、結構な満足感を得ることができました。
ほどなくして、メインステージがある大きな部屋に移動。
店内はかなり賑わっており、大勢の客であふれかえっていましたが、日本人は私と同行者の友人だけだったように思います。
後は欧米の方が多く、アジア系と思しき人たちもチラホラ。
ガイドブックなどで紹介されているのかも知れませんが、確かにこの店のコンセプトは外国の方にハマる気がします。
小さなお子さんを伴った、家族連れの方も見受けられましたね。
そして、その後のショーの模様ですが…。
いやいや、迫力満点で本当に凄まじかった!
ダンサーの女性たちと巨大ロボットが、踊る!歌う!戦う!
鮮やかなネオンと、畳みかけるように繰り出される趣向を凝らしたパフォーマンスの数々に、息つく暇もありません。
ちなみにこちらのスポットは“レストラン”とは言いながら、食事をするというよりもショーがメインのお店。
ただ別の意味でお腹がいっぱいになりますので、気になる方は話のタネにでも、一度足を運んでみてください。
新宿ゴールデン街
続いてご紹介するのは、ロボットレストランと同じ新宿にある「新宿ゴールデン街」です。
戦後逞しく生きる人々によって形成され、再開発されることもなく、昭和の面影をたたえたまま現在へと引き継がれてきたこちらの街。
小さなお店が290店舗ほど軒を並べる光景はどこか懐かしく、情緒にあふれています。
その独特な空気は誰の心をもとらえるらしく、近年は外国人観光客の人気スポットとして注目を集め、賑やかさが増したのだとか。
今後もうまく環境を整えながら、存続していってほしい場所ですね。
高揚感を抱きながらゴールデン街をそぞろ歩き、ふと目に留まったお店に入ります。
こぢんまりとしたカウンターの向こうには、めちゃくちゃイケメンな男性店員が!
あか抜けない田舎者の自覚がある私は一瞬ひるんだものの(笑)、平静を装って椅子に座り飲食を始めると、次第に心地よさを感じるようになりました。
聞けば店員の方は、役者の卵といいます。
「この店に来る方は、演劇とか音楽とか、何かしらコレというものを持っているのですが、お客さんは?」と尋ねられ、「え、読書かな…読書(漫画)」などという苦しいやり取りはあったものの、店の雰囲気やお客さんたちはとても感じが良くて、最後は笑顔で「また来てください!」とのお言葉を頂戴し、帰路に就きました。
ディープな割に排他的な感じがなくて、有難かったですね。
ドラード早稲田
どのくらい知名度があるのか分かりかねますが、「ドラード早稲田」は日本の建築家・芸術家・思想家である梵寿綱(ぼんじゅこう)氏が手掛けた建築物です。
所在するのは、東京メトロ東西線早稲田駅3A出口より、左へ3~5分程進んだ場所。
近隣まで来ると、異彩を放つ建物が目に飛び込んでくるので、すぐにそれと分かるでしょう。
東京都浅草出身で、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、シカゴ美術館附属美術大学にて学んだ梵寿綱氏は、近代工業製品化している建築技術や様式に疑問を投げ掛けており、「日本のガウディ」との異名を持ちます。
なるほど型にはまらないその作品はサグラダ・ファミリア等を彷彿とさせるもので、一種の不気味さをたたえながらも不思議な魅力があり、抗いようもなく心を捕らわれてしまいますね。
ドラード早稲田も奇妙な壁の装飾あり、ステンドガラスを配した天井から伸びる謎の巨大な手のオブジェありといった具合で、その何とも形容しがたい存在感は、訪れる者を圧倒します。
なおドラード早稲田には普通に人が住んでいらっしゃるため、自由に出入りはできませんが、103号室の「ドラードギャラリー」においては興味深い様々な展示会が実施されているので、覗いてみると良いでしょう。
偶然ではありますが、私はこちらのギャラリーで梵寿綱氏の関係者の方にもお会いすることができ、色々なお話を伺いました。
和食レストラン「権八 GONPACHI 西麻布」
ある日、多くの店がランチ営業を終えた中途半端な時間にお腹を空かせてさまよっていると、西麻布の交差点付近で、まだ開いているお店を見付けました。
やっとご飯にありつけると特に何も考えることなく入店して、驚愕。
その内観は、私が大好きな映画「キル・ビル」の舞台と瓜二つだったのです!
これはもうキル・ビルに登場した店に間違いないと興奮しながら店内を見渡すと、さりげなく映画関係のグッズが。
ビンゴ!
偶然このような場所にたどり着くとは、何と運が良いのでしょうか(笑)
さてこちらの和食レストラン「権八 GONPACHI 西麻布」さん、お料理はもとより、広い空間をたっぷり使った“和”を感じさせる内観が本当に素晴らしく、大満足のひと時を過ごすことができました。
ただしお店はキル・ビルの“モデル”であり、実際の撮影が行われたわけではありません。
それはそうですね。
あの映画を普通に営業しているお店で撮影することは、到底無理でしょう^^;
一方で権八 西麻布はブッシュ元大統領と小泉元首相の歴史的な「居酒屋会談」の場所にも選ばれるなど、キル・ビルの件は抜きにしても、大変重要な役割を果たしています。
日本人の私たちが見てもその内観には魅了されると思いますが、日本らしさをたたえつつ壮大なスケールで迫る店の様子は、海外の方をも感動させるに違いありません。
加えて、このような経緯の店でありながら、手の届くお値段というのが助かりました。
今回挙げたスポットはいずれも、ガイドブックにバーンと乗る名所のようなところではありませんが、間違いなく魅力的でしたし、足を運んでみて良かったですね。
東京にはまだまだ面白い場所があると思うので、今後もあらゆる方面にアンテナを張りながら、観光を続けたいです。