西日本

日本神話ゆかりの地!高千穂を訪ねて

神話の舞台と伝えられる地や神々を祀る神社が数多く存在し、“日本神話ゆかりの地”として知られる「高千穂」

近年はパワースポットとしても、注目を集めていますね。

私がこの地を最初に訪れたのは小学生の頃だったのですが、高千穂の謂れについて全く知識がない状態でも、子ども心に「なんて美しく気持ちの良い場所なのだろう」と感動したことを覚えています。

ちなみに、天照大神の命を受けて孫であるニニギノミコトが地上へと降臨し、地上界を治めることになったと言われる“天孫降臨伝説”に描かれた天孫降臨の地については、宮崎県北部の「高千穂峡」、もしくは鹿児島県・宮崎県の県境に鎮座する霧島連山の「高千穂峰」とする2つの説があります。

宮崎県内の北端と南西に2つの“高千穂”が存在するわけですが、今回は前者の「高千穂峡」周辺について、自身の旅行記も交えながらお伝えしていきますよ^^

高千穂峡の美しさに心癒される!

“高千穂”と言うと、滝のある峡谷内にボートが浮かんでいる様子を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

そちらは、かつて阿蘇火山活動の噴出した火砕流が五ヶ瀬川に沿って帯状に流れ出し、急激に冷却されたために柱状節理のすばらしい懸崖となった峡谷「高千穂峡」の風景です。

1934年には、国の名勝・天然記念物にも指定された高千穂峡。

付近には日本の滝百選にも選ばれた「真名井の滝」や「槍飛橋」に加え、神話に由縁のある「おのころ島」や「月形」「鬼八の力石」などがあり、 高千穂峡の遊歩道のみで高千穂の魅力を十分に堪能できるといっても、過言ではありません。

ただし峡谷内の約1キロにわたる遊歩道を散策する場合には、歩きやすい靴で出掛けることをオススメいたします。

手すりも設置されており決して険しい道ではないのですが、一部に長い下りの階段などが見られるため、ヒールの高い靴では少々心もとないです。

なお自然のパワーをより間近で感じたいという方は、是非「貸しボート」を利用してみてください。

真名井の滝のすぐそばまで行き、落差17メートルの迫力を体感することができます。

私は初めての高千穂峡で貸しボートに乗って以来、本当にこの地のことが大好きになりました^^

神々の足跡をたどる

高千穂は神話好きの方にとっても、堪らないスポットです。

周辺には神々の息吹に触れることができる神秘的な名所が点在しているのですが、今回の記事では私が直近の旅で訪れたところを中心に、紹介していきますね!

まずは日本神話(古事記・日本書紀)の中に描かれている天照大御神(アマテラスオオミカミ)のお隠れになった“天岩戸”と呼ばれる洞窟を御神体として祀る、“天岩戸神話”の舞台になった場所「天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)」

境内の「天岩戸遥拝殿(ようはいでん)」は天岩戸とされる洞窟が見える場所で、神社の中でも最も神聖な場所と言われています。

洞窟は岩戸川を挟んだ向こう岸にあるのですが、少し離れた場所から眺めるにつけても、放たれる強いパワーが伝わってくるよう。

神話の世界と悠久の歴史に思いを馳せながら、特別な時間を過ごすことができるのです。

そこから岩戸川に沿って徒歩約15分進んだ場所には、天照大御神が岩戸にお隠れになった際に天地暗黒となり、八百万の神がこの河原に集まり神議されたと伝えられる大洞窟「天安河原」が。

神社から割と歩くため、ツアーの行程では外されるか「希望者のみ、急いで行ってきてください」と指示されるケースも多いのですが、とても神秘的な光景が広がる高千穂随一のパワースポットですから、近隣を訪れた際には是非足を延ばしてみてください。

“石積み”をして願い事をすれば叶うと伝えられるこちらの河原には、祈願を行う人たちの手によって積み上げられた小さな石の柱が無数に並んでいます。

その光景は明らかに非日常のものであり、周辺に広がる何とも例えがたい不思議な空気も相まって、圧倒されてしまいますね。

この地がたたえる強烈なパワーを目の当たりにして一種の“恐ろしさ”を覚える方もいらっしゃるようですが、窪んだ洞窟の部分から河原と岩戸川をのぞみ、そこに差す木漏れ日を眺めていると、この上なく厳かな気分に。

きらめく日の光の中に神話の神々がいらっしゃるかのように見えて、とてもありがたく、清々しさを感じます。

ちなみに天安河原へ向かう途中に通る小さな「たいこ橋」も、橋の下に強いパワーポイントがあるとされている場所ですね。

ここに佇み心を研ぎ澄ませば、きっと英気を養うことができるでしょう。

…と、ここまでは私自身何度も訪れている場所なのですが、少し前に高千穂を旅行した際には初めて、知人の勧めで「荒立神社(あらたてじんじゃ)」にも参拝してきました。

瓊々杵尊が天照大御神の命を受けてこの国に降臨される途中、天孫一行を道案内された猿田彦命と天鈿女命が結婚して住まわれた地と伝わる、こちらの神社。

切り出したばかりの荒木を利用して急いで宮居を造ったために、“荒立宮”と名付けられたのだとか。

このような言い伝えから縁結びにご利益があると言われる一方、天鈿女命が歌や舞、芸能の神としても有名なことから、“芸能と縁結びにご利益がある”とされていて、多くの芸能人もお忍びで訪れているといいます。

実際にモデルのアンミカさんが荒立神社のご利益について広く紹介しており、これを受けて参拝にいらっしゃったという方も、かなり見受けられるようですね。

かくいう私の知人も、アンミカさん経由で神社のことを知ったと話していました。

さて境内には、心を込めて力強く7回打つと願いが叶うという「七福徳寿板木(しちふくとくじゅばんぎ)」といったスポットが。

拝殿の裏手に広がる森林にも板木が設置されており、木々の間からも何かしらのパワーを感じます。

なお私は縁あって宮司さんにお話を伺うことができたのですが、とても柔和な方で、心が癒されました^^

荒立神社は高千穂町も紹介する観光スポットではあるものの、その一方で良い意味で大仰ではない、温かみを感じられるような神社で、参拝の機会に恵まれて良かったです。

何度訪れても心洗われるひと時を与えてくれる場所、高千穂。

神話、パワースポット云々というと興味がないと感じる方もいらっしゃるでしょうが、名勝・天然記念物に指定された高千穂峡の景色はシンプルに感動的なものですし、歴史ある神社を巡ったり、美しい棚田を眺めたりしながら過ごす時間は、どなたにとっても魅力的な旅の思い出となるに違いありません。

もちろん高千穂には今回ご紹介した場所以外にも、九州を代表する大規模な本殿を持つ「高千穂神社」や、雲海の名所として名高い標高513mの「国見ヶ丘」など、是非立ち寄りたい名所が数多く存在します。

国の重要無形民俗文化財に指定されている、「高千穂の夜神楽」も人気ですね^^

なお神話について軽く予習した上で高千穂に行きたいという方には、阿刀田高さんによる「楽しい古事記」という本がオススメ。

タイトルのごとく本当に楽しく古事記について学び、「日本とは、こういう成り立ちの国なのか」と知ることができるので、手に取ってみてください。

やはり予備知識があると旅の景色が全く違って見えてきますし、より豊かな体験ができること請け合いです。

是非とも高千穂の地に踏み出し、神話の世界の空気を肌で感じながら、エネルギーをチャージしてみてはいかがでしょうか?