アジア

タ・ソムの人知を超えた荒々しい自然のパワーに心が癒されました!

世界遺産「アンコール遺跡群」は、特に有名なアンコール・ワットをはじめ、大小合わせて700以上にもなるという古代カンボジアの遺跡で構成されています。

その見どころが余りにも多く素晴らしかったため、こちらのサイトでも数回に分けて旅行記をまとめてまいりましたが、今回は「タ・ソム」「東メボン」の両遺跡をご紹介するとともに、遺跡群への起点となる「シェムリアップ」の町の様子などについても、お伝えしたいと思います。

どうぞ最後まで、お付き合いください。

まだまだ見どころが多いアンコール遺跡群!

数多くの有名な遺跡を訪れたものの、旅が終盤に差し掛かってもなお、カンボジアの見どころは尽きません。

車を走らせていると、ガイドさんがふいに「興味があって体力がまだ残っているならば、もう一か所、遺跡にお連れしますが…?」と尋ねてきました。

是非にと二つ返事で答えてたどり着いたのは、アンコール・トムの北西に位置する「タ・ソム」

バイヨン様式をした平地型の仏教寺院ながら、修復がされないまま多くの木や植物に覆われており、その規模も決して大きくはないといいます。

12世紀末にジャヤーヴァルマン7世の手によって、父であるダーラニンドラヴァルマン2世に捧げるべく建てられたというタ・ソム。

踏み入っていくと、アンコール・トムを思わせる、四面仏をあしらった塔門が見えてきました。

率直に言ってこの塔門を鑑賞するだけでも、訪れる価値が十二分にあるスポットだと感じるのですが、周辺に余りにも有名且つ巨大な遺跡が点在しているため、オプション的な扱いを受けているのでしょうか…?

もう一つ印象的だったのは、身長の何倍もある高さの塔門に木の根が絡みつき、上から飲み込むようにして侵食する様子。

この地が歩んできた長い歴史と、人知を超えた荒々しい自然のパワーに圧倒され、思わず息をのみます。

なお長らく修復されないままに崩壊しつつあったタ・ソムではありますが、現在はワールド・モニュメント財団の修復プログラムへ登録されたことにより、遂に修復作業が開始されたそうです。

手付かずの雰囲気を残す現在の状態も魅力的ではあるのですが、この偉大なる人類の遺産を未来に向けて長く受け継いでいくために、修復を加えるのは不可欠なことでしょう。

周囲を森に囲まれ、木漏れ日の中を散策するにも良さそうなタ・ソムも、順調に整備が進めば、更なる観光の目玉になり得るかも知れません。

ともあれ現在は“タ・ソム=ソムおじいさん”という名称から抱くイメージそのままの、どことなくのんびりとしたスポットです。

最後に足を運んだのは、東西7Km×南北2Kmの灌漑用として掘られた人口湖・東バライの中央にある人工島に、まるで浮かぶようにして建設された「東メボン」

10世紀ラージェンドラヴァルマン2世の統治時代に、ヒンドゥー教のシヴァ神及び王の両親へ敬意を表して建てられたというこちらの遺跡は、アンコール・ワットよりも古いヒンドゥー教の寺院です。

しかしながら東メボンは多様で美しい彫刻の数々を今に伝えており、観る者に感動を与えてくれますね。

ピラミッド型をした遺跡全体の姿も、非常に壮大且つ荘厳なもの。

1段目と3段目の角には、高さ2mの独立した石のゾウが建っています。

アンコール遺跡の中では比較的穏やかな階段が備えられているため、これを登り、ゾウの近くへ。

上層からの眺めを楽しみながら、間近に来ると思ったよりも大きいゾウと共に、写真を撮ってもらいました。

このレベルの遺跡を数えきれないほど擁するとは、アンコール遺跡群、恐るべし。

正直に言うと自分はアンコール・ワットよりも、カンボジアに足を踏み入れるまでノーマークだった遺跡の方がより好みでしたから、心震えるようなスポットが他にもまだまだ存在するのでしょう。

今回の旅でカバーできなかった東南アジア最大の湖「トレンサップ湖」や、神秘の水中遺跡「クバルスピアン」など、パッと思い付く気になるスポットもたくさん。

私はより多くの国を見て回りたいとの想いから、基本的に“一度行った国は再訪しない”心づもりをしているのですが、カンボジアには一生のうちにあと何度か足を運びたいです。

“人”も魅力的だった、シェムリアップの町

なお私はかなり暑い時期にカンボジアを訪れたため、一番気温が上がる午後の時間帯は何もせず、ホテルでゆっくり過ごしていました。

宿泊したホテルはリゾート感たっぷりで、中庭には大きなプールが備え付けられており、そのあたりに座ってボーっとしていましたね。

突然のスコールに見舞われると、ホテルのスタッフさんがサッと傘を差し出してくれる温かなおもてなし。

ただそれはホテルに限ったことではなく、観光地ではないマーケットなどにおいても、ちょっと困ったそぶりをみせたら誰かが優しい笑顔で駆けつけてくれて、カンボジアの人々はどれだけ親切なのかと感動しました。

私がやり取りしたほとんどの方は英語を話すことができたので、ちょっとした会話も弾みましたね。

特にホテルのスパでマッサージしてくれた若い女の子とは、結構長いこと話しました。

カンボジアの人々は皆笑顔が素敵でクリっとした美しい目をしていたため「カンボジアの女の子は可愛いね!」と伝えると、「日本人の方が、肌が白くて可愛いよ」と返してくれましたが…。

彼女の素朴な可愛らしさは、今も印象に残っています。

このときにカンボジア語で“アリガトウ”は何というか教えてもらい、以降、お礼だけは現地の言葉で伝えるように。

するとカンボジアの人たちは大喜びしてくれて、こちらも幸せな気分に浸ることができました。

タイを称してよく使う言葉ではありますが、カンボジアも“微笑みの国”だと思います。

街全体に観光客を温かく迎える風土が根付いていることもあってか、治安も良いように見受けられましたよ。

怖い思いをすることは一度もなく、終始安心して過ごすことができました。

また何よりも、トイレが清潔だったことは嬉しかったです。

やはりシェムリアップの町は観光地として、しっかり整備されているのでしょう。

食事の面でも、困ることはありませんでした。

前に近隣国の料理を比較すると、「タイは辛い、カンボジアは甘い、ベトナムはあっさり」だと教えられましたが、本当にそのとおりのイメージです。

ただしつこい甘さではなくて、ココナッツのような爽やかな甘さの味付けが多く、食べやすくて箸が進みました。

調子に乗って食べ過ぎたのか、帰国直後にお腹を壊して病院に掛かりましたが^^;

もともと胃腸が弱いので、海外旅行に出かけると、本当によく腹痛に苦しみます。

聞けば衛生面で問題があるというよりも、普段食べ慣れない香辛料などを大量に摂取するため、お腹がビックリしてしまうそうですね…。

今回の場合は帰り道に飛行機を乗り換えたベトナムの空港で腹痛に見舞われたため、カンボジア観光自体に支障は出なかったことが救いでしたが。

そういったわけで、これまでに訪れた中でも一番と言って良いくらい、カンボジアは本当に素敵な国でした。

それだけに、つい最近まで行われていた戦争の傷跡が際立って、色々と考えさせられる部分もあったのですが、まずは現在の平和と旅行の機会を得られたことに感謝しつつ、人々の笑顔と遺跡の数々がこれからもずっと受け継がれていくよう、心から願います。

最高の旅を演出してくれた、ガイドの男性にも感謝!

次回もまた、彼に案内してもらいたいですね。