西日本

アクセス良好・見どころ満載!滋賀県・大津市へ

“どこかに出掛けたい”とぼんやり考えながら地図や路線図を眺めていると、滋賀県・大津市が京都からかなり近いことに気付きました。

比叡山や琵琶湖など、一度は訪れたいと考えていたスポットもたくさん。

早速簡単な下調べを済ませ、大津まで足を運んできましたよ^^

京都から大津までの道のりも楽しい!

日本一の大きさを誇る琵琶湖や比叡山などの自然に恵まれ、これらが生み出す美しい風景と自然を、四季を通じて楽しむことができる大津市。

歴史遺産も数多く有しており、平成15年10月には全国で10番目の「古都」指定を受けています。

そんな魅力にあふれる大津市は、JR京都駅から約10分(大津駅・大津京駅)と、アクセスの良さも抜群!

なお私は今回、三条京阪駅から地下鉄東西線・京阪電車を経て約25分でびわ湖浜大津駅に至るルートを選び、大津へ向かうことにしました。

そしてこの選択が、大正解!

京阪電鉄京津(けいしん)線の道のりが、移動ではなく観光と言えるほどに、とても味わい深いものだったのです^^

京都市の御陵(みささぎ)駅と大津市のびわ湖浜大津駅を結ぶ7.5キロ・乗車時間16分足らずの短い路線ながら、“地下鉄”から急勾配と急カーブが続く“山岳鉄道”に変化を遂げ、更に大津市街地では“路面電車”になる京津線。

車窓間近に迫る様々な景色を眺めていると、ワクワクが止まりません。

また道中には百人一首で有名な琵琶法師・蝉丸を祀る「関蝉丸神社下社」や、その歌にも登場する、不破の関や白川の関などと並んで文化的・歴史的に有名な関所「逢坂の関」が。

歴史や古典が大好きな私にとって、自らも古の人々と同じ足跡をたどりながら旅しているという感覚は何とも魅力的で、区間ごとに一変する車窓からの眺めを楽しみつつ、悠久の時の流れに想いを馳せることができました。

私は鉄道に詳しいわけでは全くありませんが、この京阪京津線は近鉄南大阪線と並び、関西でも特に好きな路線ですね。

本当に、鉄道は旅の“手段”ではなく“ロマン”だと感じます。

数々の名所は見応え十分!

そうこうしているうちに琵琶湖が見えてきて、大津に到着。

引き続き電車を利用しながら、周辺の名所を巡っていきます。

まず訪れたのはユネスコ世界文化遺産にも登録されている、かの有名な「比叡山延暦寺」

一千二百年の歴史と伝統を誇り、日本仏教各宗各派の祖師高僧を輩出したことから、“日本仏教の母山”と仰がれている聖地です。

坂本ケーブルに乗り換え山を登って、諸堂を拝観。

山の上という立地もあってか、先ほどまでとは明らかに違う凛とした空気が周囲に流れており、自然と背筋が伸びてきます。

比叡山が辿った歴史や、多くの人々が紡いできた信仰心のことを思うと、更なる感動が。

加えて京都と滋賀の県境に位置する比叡山は、東には琵琶湖を眼下に望み、西には古都・京都の町並を一望できる“景勝の地”でもあり、山内の巡拝はもちろんのこと、自然散策や史蹟探訪も楽しめて、この地を訪れることができて良かったとの想いがこみ上げてきました。

比叡山を降りて向かったのは、近江八景「三井の晩鐘」で名高い天台寺門宗総本山「園城寺(三井寺)」

観音堂が西国三十三所観音霊場第十四番札所ということもあり、ずっと気になっていたお寺です。

壬申の乱に敗れた大友皇子(天智天皇の子:弘文天皇)の皇子である大友与多王が、父の霊を弔うために 「田園城邑(じょうゆう)」を寄進して寺を創建し、 天武天皇から「園城」という勅額を賜わったことが始まりとされる園城寺。

その広大な敷地においては、国宝の金堂をはじめとする数々の歴史遺産を目にすることができます。

なお“三井寺”との名称で呼ばれるようになったのは、天智・天武・持統天皇の三帝が誕生した際に御産湯として用いられたという霊泉があることから、“御井の寺”と呼ばれていたものを、後に智証大師円珍が当時の厳義・三部潅頂の法儀に用いたことが由来なのだとか。

現在、金堂西側にある「閼伽井屋」から湧き出ている清水が御井そのものとされているのですが、御井に近づいてみたところ、何だかただならぬ空気が感じられ、一人で訪れていたこともあって圧倒されてしまい、早々にその場を後にしました。

三井寺自体が長い歴史において、源平や南北朝の争乱による焼き討ちなど、幾多の法難に遭遇しながらもそれを乗り越えてきた“不死鳥の寺”ですし、まして閼伽井屋は三帝の御産湯と伝わる“霊泉”ということで、強烈な力を宿したとしても不思議ではないのかも知れません。

京都の船岡山を訪れた際も同じような気配があったのですが、三井寺の雰囲気も中々に独特でしたね。

続いて到着したのは、西国三十三所観音霊場第十三番札所として、また近江八景に数えられる「石山の秋月」でも名高い寺院「石山寺」です。

奈良時代に聖武天皇の勅願によって良弁僧正が開基した石谷寺は、東寺真言宗大本山。

平安時代には石山詣が盛んで観音堂に参籠し、一夜を過ごすことが流行したといいます。

また清少納言や和泉式部などが石山寺のことを作品に記しており、この地は女流文学開花の舞台にもなったのです。

こと紫式部は石山寺に参籠して十五夜の名月を眺めたときに源氏物語の構想を思いついたとされていて、今でも式部が参籠した「源氏の間」が残っていますね。

私が石山寺に興味を抱いたのも、ここが“紫式部・源氏物語ゆかりの地”として有名だったためでした。

ただそのようなエピソードを抜きにしても、境内には国宝の本堂や多宝塔をはじめとする様々な文化財があり、訪れる者の目を引きます。

また石山寺は咲き誇る桜・ツツジ・菖蒲などを愛でることができる“花のお寺”としても名高く、その見どころは尽きません。

なお私はこの旅行のあと、紅葉の季節にも何度か参拝したことがあるのですが、歴史ある建造物と赤や黄に色づいた葉のコントラストは見事なもので、すっかり心を奪われてしまいました。

一緒に足を運んだ友人も、その後わざわざ遠方から両親を呼び寄せ、石山寺の紅葉を見せてあげたそうです。

石山寺に限らず、今回の記事でピックアップした大津の界隈は、概して紅葉が美しいと感じます。

前述のとおりアクセスも良く、足を延ばす価値が十二分にあると思うのですが、紅葉の季節も京都の街中ほどは観光客がいないので、ちょっとした穴場かも知れません。

以前滋賀の友人も「紅葉の季節は京都ではなく滋賀に宿を取ると良い」と教えてくれましたが、直近の人出はどういった感じなのか、機会があれば確かめに行きたいですね。

さて旅の最後には、近江八景「堅田の落雁」で名高い「浮御堂(満月寺)」周辺を軽く散策しました。

こちらは平安時代に恵心僧都源信が琵琶湖の湖上安全と衆生済度のため、湖中に仏閣を建立したと伝わる、臨済宗大徳寺派の寺院。

現在の建物は昭和9年の室戸台風で倒壊してしまったあと昭和12年に再建されたもので、柱は鉄筋コンクリートに変わっているものの、昔の情緒はそのまま残っています。

その名のとおり、どこまでも広がる琵琶湖の湖上に浮かび上がった浮御堂の姿は、見とれてしまうほどに趣があり、また美しく、いつまでも眺めていたいとの想いに駆られました。

しかしいよいよ日も沈んできて、今回の旅はこれにて終了。

期待以上に楽しい、滋賀県・大津市を巡る旅でした^^

すぐ近くに京都があるため、つい欲が出てセットで観光したくなりますが、旅行の際には大津だけで一日時間を割くよう、お勧めしたいです。