友人が永住権を取得していることもあって、折に触れてはシンガポールを訪れている私。
次はどの観光地を巡ろうかと情報を集めていたところ、シンガポールを起点として、近隣の国へ日帰り旅行ができると知りました。
極東の島国・日本に住んでいると、少し足を延ばせばそこは別の国…という状況自体に、何だかそそられるものがあります(笑)
早速詳細を当たってみると、半日~1日時間があれば、マレーシアやインドネシアの各地へ旅立てる模様。
そこで今回は気軽に訪れることができそうなマレーシアの「ジョホール・バル」に目的地を定め、シンガポールから国境を越えて出掛けてみることにしました。
橋を渡れば、そこはもうマレーシア!
マレーシア最南の州である、ジョホール州。
その州都が、日本代表が初のワールドカップ出場を決めた“ジョホール・バルの歓喜”で知られるジョホール・バルです。
現在ジョホール・バルと隣国シンガポールは「コーズウェイ橋」で結ばれており、陸路で行き来することが可能。
わずか1kmのコーズウェイ橋を渡れば、そこはもう別の国というわけです。
ちなみにジョホール・バルからマレーシアの首都・クアラルンプールまで陸路で行くと、約4時間半は掛かるそうですね。
ゴルフや自然、美しいビーチにカンポンビジットなど、様々なアクティビティが楽しめるというジョホール州。
加えて滞在するシンガポールの目と鼻の先とあっては、行かないわけにはまいりません。
しかしシンガポール在住の友人からは、「女性一人でジョホール・バル観光は治安の面で不安。個人的にはマレーシアに日帰りで行きたいなら、マラッカに行くことをオススメする」とのアドバイスが。
確かにマレーシアの古都で、ユネスコ世界文化遺産に登録されているマラッカも是非訪れたい場所ですが、ジョホール・バルに比べると、移動に時間が掛かるのです…。
他のスケジュールの兼ね合いもありマラッカまでは足を延ばせないけれど、友人の助言は聞くべきだと考えと考えた私は、シンガポールの現地オプショナルツアーに参加して、ジョホール・バルを目指すことにしました。
当日はシンガポールにて観光バスに乗り込み、ウッドランドCIQ(シンガポール出入国チェックポイント)へ。
ここで一旦全ての手荷物を持ってバスを降り、出国審査を受けます。
審査後は再びバスに乗ってジョホール海峡を越えていくのですが、コーズウェイ橋は大変混み合うことも多く、シンガポールからジョホール・バルまでの移動時間は約1時間半と案内されていますね。
特に週末や休日前後は、時間に十分な余裕を持っておくことが必須だそうです。
個人的も幾ら距離が近いとはいえ、国境を超えるにはやはり様々な手続きが必要で、ある程度時間も掛かるのだな…という印象を受けました。
オプショナルツアーに参加することなく、諸手続きを全部自力で済ませられたかというと、ちょっと自信がないですね^^;
ただ今回は段取りの良いガイドさんたちが至れり尽くせりで動き、細かい部分まで指南してくれたため、“陸路で国境を超える”というイベント自体を大いに楽しむことができました。
橋を渡っているときのワクワク感も凄まじく、やはり日帰り観光を計画してみて良かったです!
ジョホール・バルの活気を楽しむ
マレーシア到着後は、ジョホール・バルCIQ(マレーシア出入国チェックポイント)にて再び全ての手荷物を持ってバスを降り、入国審査と手荷物検査を受けます。
完了後にバスへと戻り、晴れて街へと繰り出すことができるのです。
さてここで簡単に、ジョホールの歴史を押さえておきましょう。
ジョホールは16世紀初めにポルトガルの侵略によって滅びたマラッカ王国最後の王、スルタン・ムハンマド・シャーによって建国されました。
その後、ここを拠点に近隣の島々を支配する、ジョホール・リアウ帝国という大きな帝国へと成長していきます。
幾多の争いが繰り返されのち、1866年にはスルタン・アブ・バカールがジョホール王国の王に即位。
マレー半島の他の州がイギリスの植民地となっていくのに対し、ジョホール王国は独立を維持しつつ、独自の経済開発を進めました。
そのためスルタン・アブ・バカールは、“近代ジョホールの父”と呼ばれていますね^^
このような歴史的背景を持つジョホール・バルの街は、多様な文化が入り混じるマレーシア独特の雰囲気をたたえながら、活気にあふれています。
シンガポールとは物価などにも差がありますが(ジョホール・バルの方が安い)、街の景観や空気感といった部分の違いも、肌で感じ取ることができるのです。
車窓の景色を楽しんでいるうちに私たちを乗せたバスは、ジョホール海峡を見下す丘の上に立つ、白壁と青い屋根が印象的な木造のモスク「アブ・バカール・モスク」に到着。
広い礼拝堂に2000人もの信者が一度に入れるというこちらのモスクは、数多いマレーシアのモスクの中でも、最も美しいモスクの一つと言われていますね。
スルタン・アブ・バカールの命により8年もの歳月をかけて建造されたそうですが、1900年の完成時、アブ・バカールは既に不帰の人となっていたそう。
しかしモスクの荘厳な魅力は今も変わらず、その大きさもさることながら、特徴的なビクトリア調の丸屋根も印象的で、観る者の心を奪います。
加えて白と青のカラーがジョホール・バルの空によく映え、とても美しいと感じましたよ^^
ちなみにこちらのモスクへ入場する場合、男性は長袖(半袖)長ズボン、女性は長そで・ロングスカート(長ズボン)、そしてスカーフの着用が必要です。
モスクでは貸し出しを行っていないので、ご注意を。
また礼拝が行われている時間帯の非イスラム教徒の入場は不可といった留意点もあり、祈りの場ということを十分に理解した上で、足を運びたい名所です。
その後は車窓から有名スポットを眺めたりしつつ、マレーシアの文化が体験できる施設「マレー文化村」へ。
こちらの施設では油ヤシやゴムなどの植物を観察できるほか、マレーハウス見学や民族舞踊鑑賞、更にはバティック(ろうけつ染め布地の特産品)や石けん作り体験を楽しむことができます。
テ・タレ&ロティチャナイの試飲試食なども実施されており、要は日本のバスツアーでも訪れるような施設ですね。
正直、自分で旅のプランを立てる場合は訪れることのない場所ですが、ここが中々面白くて!
民族舞踊の踊り子さんに凄く美しい男性がいたことを、今でも覚えているなぁ…。
加えて、イラストが描かれた木綿布に思い思いの色を乗せていくバティック作りが興味深く、自分で動き楽しみながら、マレーシアの文化について体感的に学ぶことができました。
ツアーが一緒だった皆さんも、いつの間にかかなり真剣に作業されていましたね。
マレー文化村を発ち、最後に訪れたオシャレなホテルのランチも美味しかったです。
そんなこんなで、帰りは行きと逆の手順で国境を越えてシンガポールに戻り、半日程度のジョホール・バル日帰り観光ツアーは幕を閉じました。
よくよく考えてみると、名所らしい名所をじっくり見て回ることができたのはアブ・バカール・モスクだけでは…?という気もするのですが(笑)、出入国チェックポイントでのバスを乗ったり降りたりという手続き自体が非常に新鮮でしたし、旅の満足度は高かったですね。
これに味を占めた私は、次のシンガポール旅行でインドネシア日帰り観光にも繰り出すのですが、その話はまた別の記事でご紹介できればと考えています。
訪れてみたい場所は、まだまだ尽きることがありません。