今回は、中国南部に位置する「桂林」を訪れた際の出来事を旅行記にまとめたいと思います。
桂林は、カルスト地形が生んだ山水画のような風景で有名な都市。
南北に流れる漓江(りこう)と、それに沿って連なる絶景を堪能できる「桂林漓江下り」が、旅のハイライトですね。
漓江の水量が多く草木が新緑を告げる4月から、空が澄み渡り奇峰とのコントラストが素晴らしい10月までの間が、観光のベストシーズン。
私は5月のゴールデンウィークを利用して、この地を訪れることとしました。
広州を経て、いざ桂林へ!
中国には何度も足を運んでいますが、桂林を訪れたのは香港に続く、2回目の中国旅行のときです。
山水画の世界が広がっているという評判が、いかにも中国らしい風景を楽しめそうとの期待につながって、桂林行きを決定しました。
飛行機に乗り込み、まずは広州を目指すことになったのですが、機内では日本語が全く通じず、ちょっとビックリ。
機内アナウンスはもちろん、提出を求められる書類なども、中国語or英語のみ対応しています。
中国語はまったくできませんが、何とか英語でやり過ごして胸をなでおろす私。
一方で現地に到着すると英語もまったく役に立たず、日本語のほうがまだ通じるくらいの印象で、多くの場面をニュアンスで乗り切りました(笑)
それまでに訪れた国の場合はいずれも、英語さえ話せれば何とかなるという感じだったので、何だか新鮮です。
看板の表記はもちろん全て漢字のため、言いたいことが何となく分かるというのも非常に面白い。
漢字だけの看板は単純にカッコイイですし、改めて表意文字の偉大さを感じました。
ハングルのようなとことん合理性を追求した表音文字も、すぐに覚えられることもあって、決して嫌いではないのですが…。
漢字のみならず儒教的な思想にしてもそうですし、自分の生まれた国・日本が文化的影響を受けまくっている国に一度行ってみたいという気持ちはずっとあったので、そういう意味でも、桂林の旅は有意義だったと思います。
話はそれましたが、ほどなくして広州に到着。
広州にて、中国の国内線に乗り換えます。
機内から見下ろした広州の街はかなりの大都会でしたが、全体的に霞が掛かったような土っぽい色をしていて、街の色合いが日本とは明らかに違うことに少々驚きましたね。
入国審査は時間が掛かり、確か飛行機を降りて1時間ほど要したはず。
何となくピリッとした雰囲気に、写真を撮ることもはばかられました。
そんなこんなを経て、ようやく桂林に到着!
この日はホテルに直行したのですが、宿泊したホテルがあり得ないほど豪華絢爛な造りで、テンションが上がりまくりました(笑)
ホテルの部屋というよりは一つの家のような内観で、ドアを開けてまず「部屋が一体幾つあるの!?」と思ったほど。
ダイニングキッチンに清潔感たっぷりのトイレと洗面、広々としたリビング、書斎のようなスペース、大きなベッドルームにソファ、お風呂にも一つ洗面台、巨大なテレビが2つ…。
これほど立派なホテルながら、ルームサービスが格安だったので、チャーハンなどを食べて腹ごしらえです。
ルームサービスなんて、普段なら絶対に利用しませんが^^;
そもそも私は貧乏旅行上等で、ホテルなんて雨風が凌げれば十分と考えています。
ただこちらのホテルに泊まったことを機に、やはり寝床が上等であれば旅全体の質も格段にアップするのだと、思い知らされたのでした。
魅力あふれる桂林の街に繰り出そう!
桂林の夜を感じたいと、ホテルのフロントでタクシーを依頼。
こちらにはとても感じが良く親切な日本人スタッフの方が常駐していらっしゃり、旅の間中ずっと、お世話になりました。
しばらくすると若い男性が運転するタクシーが到着し、これに乗って夜の街に繰り出したのですが、桂林の交通事情にも中々の衝撃を受けましたね。
かなりのスピードで街を駆け巡る、車・車・車。
一方で無理やり横断しなければ道路が渡れないとばかりに、各所から人が飛び出してきます。
バイクの3人乗りは当たり前…と言うか、家族全員が乗り込んで移動しており、自転車の数も半端ではない。
タクシーに乗りながら、何度も悲鳴を上げてしまいました。
しかし運転手さんは終始涼しい顔をして、私が芸能人の誰かに似ているということを、しきりにおっしゃっていましたね。
到着までに、事故を見掛けることもなく。
一見カオスのように思えても、この場所にはこの場所の秩序が存在するのでしょう。
踏み出した桂林の夜の街も、とってもエキサイティングでした!
マーケットの鍋売り場に並べられていた鳥をまるごと煮込んだ料理に、光を発しながら派手に動くおもちゃを路上に投げて遊ぶ若者たち、ある程度夜が更けているにも関わらずネオン全開で全く閉まる様子がない数々の店…。
こういったアジアの夜独特の空気感って、本当に大好きです。
当てもない街歩きにしばし興じたあと、ホテルへ戻りました。
一夜明けて、本日は旅のメイン・イベントである「桂林漓江下り」に出掛けます。
船に乗り込み漓江を行けば、なるほどそこは山水画を思わせる、神秘的なほどに美しい世界。
日本では絶対に観られないような景色の中を、約4時間も掛けて川下りします。
広がる絶景は期待どおり“これぞ中国!”と叫びたくなるようなもので、数億年にわたる溶食・風化により作り上げられた地形・桂林山水をバックに仙人が空を飛んでいても、何ら不思議ではない気がします。
中国と聞いて桂林のような景色を思い浮かべる日本人は、私だけではないでしょう。
中でも“川底の石が透けて黄色の布を水に晒しているように見える”として、「黄布倒影(こうふとうえい)」と呼ばれる眺めは、20元札にも描かれた一番の見どころ。
やはり当の中国でも、桂林の風光明媚な佇まいは特別なものと見なされているのでしょうね^^
桂林から水路を進み、約83キロメートル。
やがて私を乗せた船は漓江下りの終着点である、「陽朔(ようさく)」にたどり着きました。
すぐ目に飛び込んできた岩に赤字で刻む“陽朔”の文字が、これまた中国らしくて何とも良い感じ。
逸る気持ちを何とか抑えつつ、小さな街ながら見どころ満載の「陽朔西街(ようさくせいがい)」に歩を進めようと、船を降ります。
そのタイミングでガイドの男性が「これから陽朔の街で出会う人たちは、皆“スリ”だと思ってください」という、衝撃的な一言を!
まぁ陽朔に限ったことではないと思いますが、有名な観光地なので悪いことをする人もいるよ…という、注意喚起でしょう。
ともあれ余り広くはない石畳の道に、中国南方の伝統的家屋の商店が所狭しと軒を連ねる街並みは、心躍るものでした。
ちなみにここ陽朔西街は、観光地となる以前から多くの西洋人が滞在していたため、“洋人街”とも呼ばれているそう。
情緒あふれる街の独特な景観・雰囲気に、ワクワクが止まりません。
中国の偉人をあしらったショルダーバッグなど、店頭に並ぶお土産物も面白く、街歩きを十二分に満喫することができたのでした。
とりあえず街の様子と「桂林漓江下り」に焦点を当てて記してみましたが、桂林にはそのほかの見どころも数多く存在しています。
この地は、他では決して出会うことができない風景や、得難い体験の機会で溢れているのです。
私の旅のエピソードについても紹介しきれていないものが残っているため、機会があれば続編をまとめますね^^