ヨーロッパ・アメリカ

限りなく美しい国!ハンガリーで心癒される

旅行好きを公言していると、「一番好きな場所はどこ?」との質問を度々いただきます。

その際に私は、国内であれば奈良と大阪、海外ならカンボジアとハンガリー…と回答していますね。

国内外を問わずどの旅行先にもそれぞれの良さがあり、行かなければ良かったと後悔したことは一度もないのですが、この4地域については特に心を奪われました。

なお今回の記事でピックアップする国「ハンガリー」は、中欧諸国を周遊する旅の途中で訪れたため、長い時間を割いて観光したわけではありません。

しかしどのスポットが…というよりも、街全体の美しさや、同国のたたえる独特な雰囲気が例えようもないほどに素晴らしく、鮮烈な印象が心に焼き付けられたのです。

ハンガリーと聞いても具体的なイメージが浮かばない方もいらっしゃるかもしれませんが、同国の魅力について、自分なりに記してみたいと思います。

日本との意外な共通点も!ハンガリーってどんな国?

オーストリア・スロバキア・ウクライナ・ルーマニア・スロベニア・クロアチア・セルビアの7か国と接する、内陸国「ハンガリー」。

正式名を“ハンガリー共和国”という同国は、1000年代にハンガリー王国を誕生させたものの、1526年にオスマン=トルコ、1699年にハプスブルク家の支配を受け、1867年にはオーストリア・ハンガリー帝国に組み込まれました。

第二次世界大戦では、国土をドイツ軍に占領されて退廃。

戦後は社会主義体制に移行しますが、1956年に起きた改革要求のハンガリー動乱を経て自由主義国家へ生まれ変わり、現在に至ります。

そんな波乱の歴史を持つ国に暮らすハンガリー人は、ユーラシア大陸の最も西に住む“アジア系の民”であり、対して最も東に住み発展を遂げた日本人を尊敬する、親日家の方たちが多いのだとか。

また彼らが話すハンガリー語についても、まるで遠い親戚同士のように、日本語と似通った部分が幾つも確認できるといいます。

さらに、これは現地で聞いた話なのですが、ハンガリー人には「蒙古斑」のある子どもが生まれるケースも見られるというから、驚きです。

幼児のお尻に現れる青と灰色が混ざったような紋様の蒙古斑は、モンゴロイド特有の現象と言われていますが、中国人はもちろんのこと、日本人にも出現しますね。

しかしアジアの人々のみならずハンガリー人にも表れるとは、全く知りませんでした。

その背景には、モンゴルから猛烈な勢いで支配範囲を広げ、最大時には中国の全域や現在の中央アジア一帯・西アジア一帯、更にヨーロッパの一部までも支配下に置いた「モンゴル帝国」の影響があることは、想像に難くないでしょう。

ただ関連の話を見聞きしていると、ハンガリーと日本の間には様々な側面において、浅からぬ縁があるように思えてなりません。

日本から遠く離れた余り馴染みのない国のはずなのに、実際に訪れてみれば不思議と心癒され、その魅力に取り付かれてしまうー。

私がハンガリーという国に否応なく引き付けられたのも、何かしらの深い理由があってのことではないかと、ぼんやり考えました。

ブタペスト、エステルゴム大聖堂を訪れる

ドナウ川沿いにあるハンガリーの首都ブタペストは、東ヨーロッパでは一番大きな都市であり、またヨーロッパの中でも最も美しい街の一つとされています。

その景観は“ドナウの真珠”と称えられていて、ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区及びアンドラーシ通りは、1987年にエリアまるごと世界遺産として登録されていますね。

高台から街を見下ろすと、1849年に建設され、ドナウ川を挟み東のブダ側・西のペスト側を結んだ「くさり橋」が、ひときわ目を引きました。

両側に4頭のライオン像を従えた橋はそれ自体がとても優美なのですが、遠くから街の風景に溶け込む様子を眺めてみても、まるで一幅の絵画と向き合っているかのようで、幻想的な印象すら抱きます。

見惚れていると横にいたハンガリーの学生たちが話し掛けてくれて、少しの間、一緒におしゃべりをしたり写真を撮ったりして過ごしましたが、これほどの景色が日常の中に存在するとは、羨ましい限りですね。

続いて紹介するブタペストの観光に欠かせない「漁夫の砦」も、眼下にドナウ川、その先にはペスト地区の街並みが広がる絶好のビューポイントにして、カタツムリのような回廊をもった尖塔が特徴的な、魅力あふれるスポットです。

ちなみにこの場所は“砦”といっても戦いに使われたのではなく、同じくブタペストの見どころである「マーチャーシュ教会」を改修した建築家シュレックが、町の美化計画の一環として建造したものとのこと。

その名はかつてここに魚の市が立っていたことや、城塞のこの辺りはドナウ川で漁を営む漁夫たちが守っていたことなどに、由来するそうです。

さて毎年世界各地から多くの旅行者が訪れる観光地の素晴らしさもさることながら、中世の面影を残す建物が連なったブタペストの何気ない街並みも、どこを切り取っても画になるほどに美しいものでした

ただ美しくはあるものの決して華美ではなく、自然な美・素朴な美、更には何とも言えない品の良さが、この街にはあるのです。

私はイタリアなどにも足を運んだことがありますが、ハンガリーの方がより、ヨーロッパの“原風景”のようなものをたたえている気がしました。

何となく「中世の人々も、これとほぼ同じような風景を眺めていたのかな」と思わせるような、良い意味で作り込まれていない印象を、ブタペストの風景から受けたのです。

例えるならばイタリアが京都で、ハンガリーが奈良といった具合ですね。

完全なる個人の意見ですし、それぞれの街に異なる良さがあるため、伝わりづらいでしょうか^^;

仕切り直しまして、後ろ髪を引かれつつもブタペストを後にした私は、次に「エステルゴム」の街へ向かいました。

エステルゴムはハンガリー初代王の生誕地として知られ、当時の首都でもあることから、“ハンガリー建国の地”と言われています。

とはいえ街の雰囲気は古都らしく静かで落ち着いており、ゆったりとした時間が流れていて、まるで夢の世界をフワフワと漂っているような心持ちになりました。

この街には10世紀に聖イシュトバーン王によって建造、12世紀に再建されたハンガリーで最大のカトリック教会「エステルゴム大聖堂」があります。

なるほど非常に壮大な建物で、その正面に立ってみると、荘厳な雰囲気にも圧倒されますね。

ふと目をやると、大聖堂の傍に中世を思わせる衣装をまとった若い男性が一人。

親しみやすい笑顔をみせる彼と一緒に写真を撮ったことも、素敵な思い出です。

なお私が訪れたのが旅行の閑散期だったこともあってか、エステルゴムの街ではほとんど観光客を見掛けなかったものと記憶していますが、それがまた遠い異国いるとの気分を盛り上げてくれるとともに、この地の空気感をじっくり味わうひと時をも与えてくれましたよ^^

ハンガリーにはブタペストやエステルゴムの他にも、高級磁器で知られるヘレンド、貴腐ワインで名高いトカイなど、世界に名を馳せる都市や村が幾つも点在しています。

また温泉や民族音楽、オペラにコンサート、ワインやパプリカで味付けされた料理など、訪れる者の五感を満たす素材もたくさん溢れていますね。

今回の旅ではそのごく一部に触れたに過ぎませんが、ヨーロッパとアジア双方の影響を受けながら、日本人の琴線にも触れる独自の文化を築いてきた安らぎの国・ハンガリーに、きっとまた足を運びたいと考えています。