ゴールデンウィークを利用して中国南部の都市・桂林を旅した同じ年のお盆休みに、今度は中国の首都「北京」へと足を運んだ私。
飛躍的な発展を遂げながら、近代都市の活気とともに古都の風情をもたたえる北京の街は、とても興味深く魅力的な場所でした。
以前の記事では天安門広場・故宮博物院(紫禁城)・万里の長城などにスポットを当てて旅行記をまとめましたが、今回はそのときに紹介しきれなかった名所をピックアップしていきます。
併せて現地の観光事情についても自身の経験を交えながらお伝えしますので、是非参考にしてみてください^^
頤和園と天壇公園を訪れる
歴史好きの私にとって、紫禁城や万里の長城はかねてより訪れたい場所でしたが、その後に観光した「頤和園(いわえん)」も、期待以上に見ごたえがありました。
頤和園は万寿山とその南に広がる昆明山の総称で、面積は約290万平方メートル、背後にそびえる玉泉山や西山を庭園の風景の中に取り入れている、北京最大の“皇家園林”です。
1750年に清の乾隆帝が母親の還暦を祝うために造営した庭園が始まりで、中国伝統の“神仙蓬莱思想”が庭園の各所に表現されていますね。
「頤和園、北京の皇帝の庭園」として世界遺産にも登録された同庭園は、中国造園美の粋を集めたもの。
西太后の夏の離宮としても、有名です。
頤和園に足を踏み入れると、まずは園地の大部分を占める「昆明湖」が見えてきました。
湖の巨大さ、また堂々たる佇まいに目を奪われますが、ガイドさんの説明によると、何と昆明湖は“人工湖”なのだとか!
これほどの湖を人の力で作り上げてしまうなんて、にわかには信じられません。
驚く私に、ガイドさんはこう続けます。
「あちらに見える高さ60mの万寿山も、人工山です」
いやもう驚きすぎて、笑いが出てしまいましたね^^;
これまでのスポットでも散々抱いた感想ですが、中国はやることのスケールが違います。
頤和園は予備知識なしに鑑賞しても、きっと美しい庭園として訪れる者を満足させてくれるでしょうが、ガイドさんの説明を受けた私にとって、この景観が“人工物”であるとの事実が何より印象的でした。
ちなみに故宮博物院の北側に位置する「景山」も、明の永楽帝が北京に遷都する際、風水に照らして造営した人工の山なのだとか。
そう教えられなければ、絶対に人工物とは見抜けません。
そこに存在しないなら山でも湖でも作ってしまおうという精神に、かつての権力者たちの絶対的な存在感をも垣間見ることができて、しばし唖然としてしまいました。
続いて足を運んだのは、明代に北京が首都として整備された際、五穀豊穣を祈る祭壇として建設された、現存する中国最大の祭祀建造物を有す「天壇公園(てんだんこうえん)」です。
その敷地は地と天を意味する古代中国の宇宙観に基づき、南が方形・北が円形という“南方北円”になっていますね。
天壇は園丘と皇穹宇、祈年殿を合わせた総称であり、敷地内にはその3つが南北一列に整然と立ち並んでいます。
その意義を知ったうえでまじまじと眺めてみると、なるほど天壇公園内の建造物は何か壮大な雰囲気を醸し出しており、敷地全体にもえも言われぬパワーが漂っているようでした。
また一つの公園として見ても、総面積273万平方メートルを誇る緑豊かな敷地内は、とても気持ちの良いところ。
皆で集り楽器を演奏し、中国の伝統的な音楽を奏でる集団の姿もあって、この地が人々の“憩いの場”として機能していることが伺えます。
中国を旅すると、こういった街角の何気ない一場面に、グッと心を掴まれることが多いですね。
なお天壇公園も「天壇:北京の皇帝の廟壇」として、世界遺産に登録されています。
北京の観光事情&他都市との比較
ここまでは具体的な観光スポットを挙げて各々の魅力を紹介してまいりましたが、北京という街そのものの観光事情についても、具体的に述べたいと思います。
まずは、お土産に関して。
少し前に訪れた桂林も同じでしたが、北京の観光地においては、中国偉人の姿をあしらったショルダーバッグや人民帽など、めずらしくてユニークなアイテムが幾つも販売されています。
特定の土産物を手に下げ、個人で売り歩いている人の姿も見られ、私は彼らから宮廷女官風デザインのカチューシャなどをゲットしました。
価格は数十円から数百円ほどと、どれも安価。
ただ定価はないようなもので、興味を示すとまとめ買いを勧められたり、こちらが買うと言うまでどんどん値下げしてくれたりと、同じアイテムでも場所やシチュエーションによって値段はかなり上下する模様です。
ちなみに韓国やベトナムにおいては、売り手が“これ以上、安くはできない”というラインをある程度定めているように感じるのですが、中国の方は商品が売れるまで、あの手この手でアピールしてくる印象。
既に店を出たにも関わらず、相当な距離を追い掛けてこられたケースもあったので、不要なものは不要とはっきり意思表示した方が、お互いにとって良いでしょう。
そういえばチャイナドレスを買った桂林に続き中華風の服が欲しくて、今回は男乱馬が着ているような男性向けのトップスを探していたのですが、見付からなかったな…。
買って帰っても、着る機会は中々ないでしょうが^^;
トイレ事情は、桂林よりも随分良かったですね。
すごく清潔とは言いませんが、“これは無理!使用できない”というレベルのトイレには幸い出会いませんでした。
ドアなしも、全く見掛けなかったなぁ。
中国旅行によく出かける友人曰く、北京オリンピック以降に随分状況が改善されたと言いますが、私が北京を訪れてからも割と年数が立っているので、今は更にキレイになっているかも知れませんね。
ただご年配の方が鍵を閉めずにトイレを使用しているケースがままあったので、ご注意を。
食事は、率直に言って“可もなく不可もなく”といった塩梅でした。
“ナニコレ!?これは口にできない”みたいなメニューは、私は見掛けていません。
一方で料理が全体的に水っぽいというか、味付けが薄くて、普段から濃い味を好む私には物足りなかったのも事実…。
何でも観光客が多い店では日本人も食べやすいよう、現地向けの辛さをマイルドに抑えて提供する場合があるそうです。
そういった具合なので、もやしの炒め物など至ってシンプルな料理を好んで口にしていたものの、北京ダックは美味しかったですね!
名物でもありますし、是非ともご賞味ください。
あとは、航空会社のサービスが結構印象的でしたね。
今回は青島経由で北京まで行ったのですが、何度か離着陸の出発時間がかなり遅れてしまい、乗り換えに間に合わないのではないかと冷や汗をかきました。
そのため免税店でショッピングを楽しもうと考えていた時間は、全く捻出できず…。
かと思えば売店が一切ない狭い空間でずっと待ちぼうけをくらった場面もあったので、時間と心にはゆとりを持っておくと良さそうです。
中でも一向に飛行機が飛び立たず、地上にいる状態で機内食が配られ始め、その二,三分後に急遽出発できるようになったと食事を片付けるよう指示されたときは、面食らいましたね;
後になってみれば、こういう出来事こそ微笑ましい思い出なのですが。
いずれにしても私にとって、中国は興味をそそられる旅行先であり、今後も何度かは足を運ぶ予感がしております。
特に九寨溝と西安には、必ず行きたいですね。
そこではまた今までの旅と全く異なる経験が、待ち受けていることでしょう。